買取の今後の動き

S創業期に起業した私のことも十分熟知していて、Nに幹部として来てもらえないかとの話だった。 時期も誰を部下にするかも全て任せるからとのこと。
少し時間を欲しいと言うと、とりあえず、すぐにでも、実践教育の顧問をしてほしい、ということだった。 しかも、将来的には世界的ネットワークにまで広げていきたいとのこと。

まだ若い私は10年先、20年先のことを考えると、大きな刺激と魅力を感じるのを抑えられなかった。 そこでまず、3カ月間だけ顧問契約をして、月1回、しかも公休日のみの約束でアドバイスさせていただくことにした。
むろんあくまでも私的にだったが、いかに「頭でっかち」で足首を忘れた企画が多いかには少々驚かされた。 ある時、同企業の開発専門グループ子会社を本社の担当取締役と訪ねた。
目的は、年間13億円(昭和61年当時)もの開発費を使って開発された商品化寸前の候補品を拝見し、私なりの意見を述べることにあった。 文明堂の専門家から指導を受け開発した家庭用カステラ製造器から始まって、パン焼き器(まだナショナルでも未発表だった)やら、ある粘土鉱物を使った消臭剤まで、約2時間ほどの連続説明が終了した後、同行の担当取締役が私に質問した。
「いかがでしたか?率直なご意見をいただけますか?」と。 私は「優秀な技術者の事細かな説明には、さすが〜と驚きましたが……実はその途中でこんなことを感じました。
〈はたしてこれだけの説明をジッと聞き入ってくれる消費者はどれほど存在するのだろうか?〉と。 一歩譲って仮に説明に耳を傾けていただけたとしましょう。
では、そのカステラ製造器を現在の一般家庭のどこに置き、また保存するのでしょうか?」「仮に保存場所も十分あったとしましょうか。 では、次に年何回ほど家庭で使うでしょうか?そのへんを消費者はアッという間に見抜き、感知します。

価格の問題以前の点の方がむしろ問題だと考えます」。 「どうせ生活関連器材を開発されるなら、それこそシステムキッチン企業と提携して、収納場所も全てセットされた企画のうえで開発されれば、当然まとまっての出荷も可能だし、また消費者に対しても、現実生活上のネック(スペース等)を解決したうえでのきわめて現実的な親切提案であることが、強烈に訴求できると考えますが…」。
引き続きその他の商品別に、私なりの所見を述べてその日の会議が終了した。

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